2017.09.27 : 平成29年9月定例会(第3号) 本文

◯七十二番(伊藤勝人君) 入学間近の小学校一年生、四十人クラスの話ですから、ちょっと前のお話かもしれません。先生が黒板に円、丸を描いて、先生のとおりに描いてください、生徒に言いました。しばらくして、先生ができましたかと尋ねられますと、子供たちが、はい、四十人中三十九人が手を挙げた。そして、一人だけ黙々とまだ作業をしている子供がいます。先生がそばへ行って、後ろからのぞいてみましたら、白い紙全体を鉛筆で黒く塗っている、白いところを浮き上がらせて、丸にしている子がいた。あとの子は、どういう答案を書いたかといいますと、白い紙に鉛筆で黒く丸を描いた。先生は、はたと悩んだのだそうであります。四十人中三十九人が描いたものが正しいのか、一人だけ写術的に描いた子が正しいのか。黒板です、チョークは白です。私たちも日ごろ、大勢の方が正しいと言ったものがどうも正しい、本当に正しいものというのは一体何なのだろうかということを考えさせられる出来事だった。先生は非常に悩んでどちらも正解としたということをおっしゃっておられました。
 そのことを踏まえながら、順次尋ねていきたいと思います。あえて言うならば、僕は鉛筆で丸をすっと描いた人ですけどね。
 一九五二年、昭和二十七年に制定されました主要農作物種子法を廃止する法律が本年四月に成立をいたしました。二〇一八年、平成三十年四月一日をもって、その法律の効力がなくなります。二月議会におきまして、同僚の丹羽洋章議員が、同法が廃止されようとしているが、県はどう考えるかを質問し、答弁がなされています。
 廃止の法律ができ、廃止と同時に附帯決議がなされました。根拠法を廃止して附帯決議とはいかがなものか、そんなことを思いながら、この種子法は都道府県に義務づけた経緯があります。
 愛知県としての考えをお尋ねしていきたいと思います。
 昨年九月に坂田憲治議員とモンゴルへ出かけました、モンゴル共和国です。人口は約三百万、ウランバートルの首都に百三十万人の人が集中をしています。見ると聞くとは大違い、私たちが常日ごろ映像で、モンゴルを想像してみてください。もう馬に乗っている人はいませんでした。ほとんどが自動車です。ゲルの横に二トントラックが置いてあります。それ等々で、いろんなところで目からうろこが剥がれ落ちるようなことに遭遇をしました。
 その中で、農業施設を訪ねることになりました。ハウスです。寒い国でありますから、ハウス栽培になっていたんですけれども、日本のODAと、そしてファームドゥ株式会社、群馬県の前橋市にありますけれども、そこが現地の法人と共同出資をして始まったんだそうであります。御案内のように、放牧民族です。農業は定住しなければ、耕して、種をまいて、水をやって、育てて、収穫してでありますから、定住民族の方々がなさることですよね。
 大学の先生が研究論文を発表されました。モンゴルの平均寿命が六十歳、これ、今ごろにしますと短命になろうかと思います。それは、野菜を食べないからだということで、今や野菜ブームになっていました。
 中国から、私たちのスーパーマーケットで並ばないぐらいの古いような物が売れていましたし、そこの農場で、いよいよ八棟が稼働をし始めていましたが、余り大した農作物じゃないものが完売だそうです。首都から約一時間車で行ったところにありますけれども、そこにだけ、農場に置いてあるものが完売になっているんだそうです。
 それで、いよいよことしの四月から、ふやしていくということで、十倍ぐらいまでふやしたいなということをおっしゃっていました。寒いところですから、熱をどこで補うかということで、太陽光パネルを約百五十ヘクタールに設置して、その電熱で補っていきたいというようなこともおっしゃっていました。
 何が大変ですか、水ですか、温度ですか。いろんなことが問題としてあるとおっしゃっておられましたが、一番の悩みは、種が高いですね。F1の種子を使うわけでありますから、種が高いですねということをおっしゃっておられました。
 そのことをずっと頭に置いていたということがあって、食料というものに対して非常に興味を持っていましたので、順次聞いていきたいと思いますが、この今申し上げた法律は、実は議員立法でありまして、最初の議論のときに、坂田英一議員が提案理由を次のように説明しています。優良な種子を生産するためには特別な技術、そのためには種子が高くなりますよということでありますが、公的なところでそれを管理していきましょうということがありましたので、お尋ねをしていきます。
 その昔、私たちは農業をしているときに、生産したものの約一割を、来年用の種にとっておきましたよね。その種をまいて、また来年収穫をして、また種をまいてということで、順次順次それを繰り返していました。
 二十年ほど前に、バケツ一杯幾らでしたよ、種が。今、一袋五百円です。どのぐらいの量が入っているのかといいますと、大根でいいますと二畝ですね。十五メーターぐらいの畝、二畝ぐらいの分が五百円になっています。大変に高い、利は元にあり、F1とは一代の交配です。その種子を次にまいても、十分な収穫はできません。むしろ生育をしないわけであります。
 いいことがあります。繰り返し使用してはできないわけでありますけれども、非常に丈夫だ、一斉に育ってものがそろう。そして、収穫するときに、ところどころ成長したものを収穫しながらでなくて、一斉に収穫をすることができますから、効率が非常によくて、大規模な農業に適しています。しかし、その種子の価格が高い。種子生産者に握られているということであります。
 種子法の廃止によって、将来的に種子の値上げをも予想されるところです。
 北海道の農業試験場で育成をしました、きらら三九七の種子は、二十キログラムで七千円、コシヒカリは二十キログラムで七千九百二十円、ヒノヒカリは七千六百七十円、一方で、民間企業のとねのめぐみは一万七千二百八十円、業務用きらら三九七が七千百円、まっしぐらが八千百円、民間企業のみつひかりが八万円です。民間で開発された種子はその十倍もするものもあります。
 米の価格が上がれば、消費者が負担を負うことになってきます。外国企業の種子の囲い込みも懸念をしなければなりません。農業界では、種子を制するものが世界を制すといいます。その技術が無制限に民間に、多国籍企業に開放されれば、今後は日本の種子を巨大資本の外国企業が牛耳ることになるのかもしれません。
 そして、世界の大手種子企業は業界再編を進めています。例えば、ドイツの医療、農薬大手のバイエルは、米国の遺伝子組み換え種子最大大手の、モンサントを六百六十億ドルで、日本円でいいますと約七兆二千五百億円、買収しました。同じく農業種子業界大手の米国ダウ・ケミカルはデュポンと合併をしました。中国におきましても種子ビジネスに熱心でありまして、中国化工集団ケムチャイナ、スイスの農業種子メーカーのシンジェンタを四百三十億ドル、約四兆七千三百億円で買収しました。中国化工集団は、中国を代表する巨大国有企業でありまして、習近平国家主席の傘下にあると言われています。
 二〇一五年の資料によりますと、遺伝子組み換えの種子により、作付の割合は、大豆で八三%と言われています。この種子法があったからこそ、米、麦、豆で組みかえも含めて、この国に入ってこなかった。
 農水省は種子法の廃止の理由を、多様なニーズに対応、民間ノウハウも活用して品種開発を強力に進めるためと説明をなさっておられます。この流れが決まったのが、昨年十月に開かれた政府の規制改革推進会議の農業ワーキング・グループ会議でした。民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止するとされました。ことしの二月に種子法の廃止が閣議決定されました。
 そのころ、森友であったり、いろんなことが大きく報道されている時期でありまして、日本では余り大きく報道がなされなかったと私は思っています。ゆえに、いつ、どこで、どうなっているんだという声を、農協を中心にしてたびたび耳にすることになったのは御案内のとおりであります。TPPかな、FTAかなと思わざるを得ません。
 十二月の国会において、交渉の中でサイドレターの効力について、岸田外務大臣は、我が国が自主的にタイミングを考え、実施していくことになると答弁をされています。この法律、主要農作物種子法が廃止された直後に、あるいは十年、二十年後に、それまでに大きな変化が起きる可能性は少ないのかもしれません、蓄えがあります。長期的には不透明と言わざるを得ません。
 この種子の大切さを訴えたデンマークの研究者ベント・スコウマンは亡くなる前にこんな言葉を残しました。種子が消えれば、食べ物も消える。そして、君も。
 西川芳昭、龍谷大学の農業・資源経済学教授は、種子は太陽や土、水と同じように農業にとって大切な資源、日本人はみずからの食べ物をどう守るか、それが問われていると言われています。
 廃止に伴う問題点を考えるときに、種子の品種改良の促進、安定供給体制の確立、流通の適正化、都道府県など公的機関による生産と普及F1種による種子の高値、遺伝子による人体への不安と外国企業による寡占化、都道府県においては、根拠法のなくなった交付税化、将来への不安にあろうかと思います。
 国の農林水産委員会においてさまざまな議論がなされています。その中で大臣がなさった答弁があります。
  種子法の廃止をいたしましても、国と都道府県の種子
 の開発、生産、流通、管理、こうしたものにおける基本
 的役割は変えないでおきたい。そして、さらに加えて、
 今後民間の力を活用できないものか、さらには、そのこ
 とにおいて、都道府県のエリアから超えて、広域的なそ
 ういう取り組みや、あるいは戦略的な取り組みが種子の
 分野でも開発、生産が行われるということになってもら
 いたい、こう思っています。
  まず、御指摘の開発でございますが、これは、国はこ
 れまでと同様、戦略的な品種開発に必要な遺伝資源の収
 集、育種技術の開発を行います。また、都道府県は、農
 業試験場を中心に独自のブランド品種の開発を行いま
 す。
  さらに、生産の段階では、これは原種、原原種を生産
 していただき、必要に応じて民間企業に業務を委託する
 などしていただき、一般種子の生産も、これまでと同様
 に、種子協会が見積もった生産量を踏まえて圃場を指定
 していただき、協会等の指導のもとに種子生産農家が種
 子を生産する。さらには、民間企業が原種、原原種を生
 産していただき、一般種子は農業者を選定の上で、生産
 を委託し、民間企業の技術者による指導のもとで生産す
 ることになる。
  さらに、御指摘の流通でございますけれども、種子協
 会等が引き続き存置されますので、各地の種子需要、供
 給、それの把握や供給量の調整をしていただく。さら
 に、農業者への種子販売は引き続きJA等が行っていた
 だく。民間企業が生産した種子は、民間企業が直接農業
 者に販売する場合もございます。
  そして、品質の管理でございますが、種苗法の基準に
 沿って現行の種子法と同様の規定を追加しまして、都道
 府県が品質を確認していただくということになるわけで
 ございます。
  多国籍企業で遺伝子組み換えと農薬とのセットで売り
 上げを上げている国、アメリカがあります。
  というようなことも非常に参考にしながら、食の安
 全、安心というものを図り、かつまた、種子における研
 究開発がさらに進むというようなことを念願していきた
 いと思っております。
  加えて、都道府県の負担を軽減するための地方交付
 税、これは予算編成でございますけれども、各省に働き
 かけをいたしまして、これをしっかり位置づけたいとい
 うように思っております。
と答弁がなされています。
 努める、念願している、なってもらいたい場合もございます。地方交付税については、各省に働きかけをしてと、箇所ごとに断定的な言葉をお使いになってはおられません。そして、採決時に附帯決議がなされました。これも全部読みます。附帯決議は、
  主要農作物種子法は、昭和二十七年に制定されて以
 降、都道府県に原種・原原種の生産、奨励品種指定のた
 めの検査等を義務付けることにより、我が国の基本的作
 物である主要農作物(稲、大麦、はだか麦、小麦及び大
 豆)の種子の国内自給の確保及び食料安全保障に多大な
 貢献をしてきたところである。
  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現
 に万全を期すべきである。
  一、将来にわたって主要農作物の優良な品質の種子の
 流通を確保するため、種苗法に基づき、主要農作物の種
 子の生産等について適切な基準を定め、運用すること。
  二、主要農作物種子法の廃止に伴って都道府県の取組
 が後退することのないよう、都道府県がこれまでの体制
 を生かして主要農作物の種子の生産及び普及に取り組む
 に当たっては、その財政需要について、引き続き地方交
 付税措置を確保し、都道府県の財政部局も含めた周知を
 徹底するよう努めること。
  三、主要農作物の種子について、民間事業者が参入し
 やすい環境が整備されるよう、民間事業者と都道府県等
 との連携を推進するとともに、主要農作物種子が、引き
 続き国外へ流出することなく適正な価格で国内で生産さ
 れるよう努めること。
  四、消費者の多様な嗜好性、生産地の生産環境に対応
 した多様な種子の生産を確保すること。特に、長期的な
 観点から、消費者の利益、生産者の持続可能な経営を維
 持するため、特定の事業者による種子の独占によって弊
 害が生じることのないよう努めること。
であります。
 法律を、根拠法を廃止しながら、この法律があるがごとくの附帯だとお思いになりませんか。日本国民の生存にかかわる問題であるからこそ、そのことが読み取れると思います。そして、予算だけではなく、五月に成立をしました農業競争力強化支援法では、自治体や農業試験場が持つ種子生産の技術や知識を民間企業に提供するよう求めています。
 農業試験場の役割はいろいろあると思いますが、今までここが、原種や原原種、あるいは新商品開発に係るさまざまなデータ、そして、現物を保存、管理してきた役割をきちっと担ってきたと私は理解をしています。地道で重要な作業であり、さまざまなものを開発していくとき、オリジナルのところへ戻ってくるということの重要性は言うまでもないと思っています。
 それを踏まえてお伺いをいたします。
 本県において、これまで主要農作物種子法が米、麦、大豆の生産振興にどのような役割を果たしてきたのか。また、種子法が廃止されることにより、優良な種子の供給などが確保されるのか心配する声がありますが、県としてはこれまでの役割をどのように担っていく方針であるのかをお伺いいたします。
 次に、種子法の廃止に加え、農業競争力強化支援法の制定により、今後、外資系の種苗企業による国内の種子生産への参入が進むことや遺伝子組み換え農作物の作付がふえることなどが懸念をされますが、県はどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
 そして、遺伝子組み換え農作物について、食品安全やそれに関する懸念の声が高いわけでありますけれども、どのように認識をなさっておられるのかをお尋ねいたします。
 次に、愛知環状鉄道のICカード乗車券の導入についてお尋ねをいたします。
 少しおさらいをします。時間がなくなりました。はしょっていきます。愛知環状鉄道は、昭和六十三年一月に地方公共団体、地元企業の出資によって第三セクターで運用をしている会社です。営業キロが四十五・三キロ。高蔵寺─岡崎間、一日百六十九本、休日百四十八本、おおむね一時間当たり四本運行がなされています。
 今回、愛知環状鉄道の中期経営計画によりますと、平成二十四年から二十八年度中のその計画の期間中、いろんなことをしてこられて、今や二十八年度には千七百十一万人乗車をなさっておられます。そこの中で、今回、なさる仕事をいっぱい抱えておられるうちの一つとして、IC化が予算立てがなされました。愛知県として七千七百万円予算化をなされておられます。
 そのことも大事なことでありますが、私ども、沿線四市の議員連盟の中で、複線化を望んでいます。名古屋─品川間が、十年後に四十分で行く。高蔵寺─岡崎間が六十五分かかっている。そのことを思いますと、複線化することが時間を短縮するのに最も早いであろうということも含めながら、IC化についてお伺いをいたします。
 愛知環状鉄道では利便性向上を図るため、ICカード乗車券を導入するとのことでありますけれども、ICカードが使えないことで、実際どのような不便が生じているのかを伺います。
 愛知県内の鉄道におけるICカードの導入状況について伺います。
 愛知環状鉄道がこの時期にICカードの導入を進める理由、そして、愛知県が支援する意義について伺います。
 そして、期待する全線複線化の見通しについてお伺いをし、壇上での質問といたします。(拍手)

◯農林水産部長(高橋智保君) 主要農作物種子法の廃止についてのお尋ねのうち、まず、種子法が果たしてきた役割と法廃止後の対応方針についてであります。
 種子法及び国の基本要綱では、都道府県は栽培試験を実施して、普及すべき稲、麦、大豆の優良な品種を奨励品種として決定することや種子の種類別の需給の見通しを取りまとめた種子計画を策定し、種子を安定的に供給することなどが定められております。本県におきましては、農業総合試験場が本県の気候や土壌条件に適した水稲や小麦の品種を育成して、県内各地で栽培試験を実施し、その結果を踏まえて奨励品種を決定してまいりました。
 また、国の基本要綱により県が設置した愛知県米麦振興協会は、種子計画で定められた生産者が翌年の栽培に必要とする種子の数量等に基づいて、種子生産農家に委託することで、生産者の要望に対応した安定的な種子供給を担っております。
 平成二十七年度に米麦振興協会が供給した種子は、平成二十八年度の県内栽培における必要量のうち、水稲で九五%、小麦で一〇〇%となっており、毎年、品質が保証された種子に更新することにより、安定生産に大きく貢献してまいりました。
 来年四月の種子法の廃止に伴い、現在の都道府県における奨励品種制度や計画的な種子生産等については、法令等での位置づけはなくなりますが、種子の品質に関する基準は、引き続き種苗法において担保される方針でございます。
 また、本県におきましては、奨励品種の決定や米麦振興協会による種子の供給体制が既に五十年以上も続いており、本県の生産者の経営安定のために欠くことのできないものとなっております。そこで、今後とも、これまでの優良な種子の供給体制を堅持し、米、麦、大豆の生産振興にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、外資系企業による国内の種子生産への参入や遺伝子組み換え農作物の作付の増加に対する懸念への対応についてでございます。
 初めに、外資系企業の参入についてであります。我が国では地域ごとに異なる多様な気候条件に適した品種を国や県が開発して普及に努めております。一方、外資系企業は、海外の穀倉地帯などの均一な気候条件のもとで、大規模に栽培される種子の販売を前提としておりまして、販売単位が小規模となる我が国の市場は魅力的でないことなどから、外資系の種苗企業はほとんど参入していないのが現状でございます。
 本県におきましても、水稲のあいちのかおりや小麦のきぬあかりを初め、県が開発した品種が、本県の気候条件や栽培体系に適しておりますことから広く普及しておりますが、その栽培面積は全体から見ればわずかでありますことから、外資系企業の参入の可能性は低いものと考えております。
 次に、遺伝子組み換え農作物についてでございますが、我が国においては、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、いわゆるカルタヘナ法に基づきまして、国において他の生物への影響を科学的に評価し、問題がない場合にのみ輸入や栽培が承認されているところでございます。
 現在、国内で栽培が承認されている遺伝子組み換え農作物は八作物、百三十二品種でありますが、主要農作物につきましては、大豆のみでございまして、二十一品種となっております。こうした遺伝子組み換え農作物は、現行の種子法においてもその作付は規制されておりませんが、我が国では遺伝子組み換え農作物に不安を抱いている消費者が多いことから、稲、麦、大豆はもとより、食品や飼料として使用されている農作物において遺伝子組み換えの作付が行われておらず、今後も作付が増加することはないものと考えております。
 また、種子法の廃止に加え、農業競争力強化支援法が制定されたことにより、民間事業者による種子の研究開発を促進するとともに、都道府県が有する種子生産に関する知見の民間事業者への提供を促進することが定められました。
 県といたしましては、今後、民間事業者との共同研究にも積極的に取り組み、国内の種子の優位性を高めて、外資系企業の参入や遺伝子組み換え農作物の作付に対応するとともに、県が有する知的財産が不用意に流出することのないよう、すぐれた品種を守るための対策をしっかりと講じてまいります。

◯健康福祉部保健医療局長(松本一年君) 遺伝子組み換え農作物の食品としての安全性に関する認識についてお答えいたします。
 厚生労働省は、遺伝子組み換え農産物及びそれを原材料とした食品と遺伝子組み換え微生物を利用してつくられた食品添加物を遺伝子組み換え食品としております。
 これらにつきましては、専門家により構成された国の食品安全委員会において、科学的根拠に基づく安全性の評価がなされ、その結果、安全性に問題がないと判断されたもののみ食品衛生法により国内での流通が認められております。
 また、食用の遺伝子組み換え農作物につきましては、国内での栽培は行われておらず、全て輸入品であり、検疫所が抜き取り検査等により、水際対策を講じております。
 さらに、本県では、安全性が確認されていない遺伝子組み換え食品の混入や表示義務違反を調べるために、県内に流通している食品の遺伝子検査を実施しております。この検査では、遺伝子組み換え農作物として国内で流通が認められている八つの農作物のうち、輸入量の多いトウモロコシ及び大豆を対象としております。平成二十八年度には県衛生研究所におきまして、農作物及びそれを原材料とした食品の検査を二十五件実施いたしましたが、問題となるものはございませんでした。
 これらのことから、県といたしましては、国内で流通する遺伝子組み換え食品の安全性は確保されているものと認識しております。

◯振興部長(野村知宏君) 私からは、愛知環状鉄道のICカード乗車券の導入についてお答えいたします。
 まず、ICカード乗車券が使えないことでどのような不便があるかについてでございます。JR線からICカード乗車券利用者が愛知環状鉄道へ乗り継ぐ場合、乗り継ぎ駅となる岡崎駅、高蔵寺駅では、現在は改札を一度出て、愛知環状鉄道の乗車券を購入し、改めて改札に入る必要があります。しかし、両駅は改札を出ることなく乗り継ぎができる構造であることから、乗車券を購入しないでICカード乗車券のまま乗り継ぐ利用客が恒常的に発生しております。このような場合、基本的には愛知環状鉄道の下車駅で現金精算を行うとともに、そのままでは次回ICカード乗車券が利用できないことから、JRの駅で改札記録の消去を行っていただく必要があります。さらに、愛知環状鉄道は終日、または時間帯によって無人となる駅が十五駅あり、これらの駅では、車掌がこうした精算を行っておりますことから、列車の運行遅延にもつながっているところであります。
 次に、県内の鉄道におけるICカード乗車券の導入状況であります。
 県内では、平成十八年に初めてICカード乗車券が導入されて以来、各鉄道事業者が順次導入を進めてきた結果、現在導入されていないのは、愛知環状鉄道のほか、利用者が少ないJR飯田線の豊川駅より北の区間と名鉄蒲郡線、東海交通事業城北線の三路線のみとなっております。
 続いて、愛知環状鉄道がこの時期にICカード乗車券の導入を進める理由であります。
 愛知環状鉄道は、西三河から尾張北東部地域の人口及び産業の一大集積地を結び、年間一千七百万人以上が利用する、沿線住民の生活に不可欠な鉄道です。地域の発展にとってその重要性はますます高まっておりますが、ICカード乗車券の普及とともに、特にJR線から乗り継ぐ利用者を中心に、導入を求める要望が数多く寄せられてきました。
 さらには、ラグビーワールドカップ二〇一九が平成三十一年秋に開催され、愛知環状鉄道は会場の一つとなる豊田スタジアムへのアクセスを担う重要な路線となることから、訪日外国人も含め、多くの利用者の円滑な移動を確保するためにも、ICカード乗車券の導入は急務となっております。こうしたことから、本年七月、愛知環状鉄道株式会社は平成三十一年春の導入を決めたと承知しております。
 次に、本県が支援する意義でございます。
 ICカード乗車券の導入で多額の投資を行うことは、導入によって直ちに利用者の増加につながらないこともあって、会社経営にとっては大きな負担となります。そうした中、国は平成二十七年に定めた交通政策基本計画の中に、旅客交通のサービスレベルをさらに引き上げるための施策として、ICカード乗車券の利用エリア拡大を位置づけ、補助制度により鉄道事業者の取り組みを支援しているところであります。
 本県といたしましても、こうした国の動きを踏まえ、また、愛知環状鉄道が多くの県民に利用され、地域の発展に重要な役割を果たしている状況や今後の会社の安定的な経営などを総合的に勘案し、沿線市とともに支援を行うこととしたものであります。
 最後に、愛知環状鉄道の全線複線化の見通しについてであります。
 愛知環状鉄道は、全線単線の路線として開業して以来、需要の多い区間などを中心に部分複線化施設の整備を行い、現在約三割が複線化され、その結果、終日おおむね毎時四本の運行が実現されました。こうして、愛知環状鉄道では輸送面で一定の利便性向上が図られたことから、複線化区間の拡大よりも次の大規模投資として、利用者や地元からも要望の大きいICカード乗車券の導入を図ることにしたと承知しております。
 このような状況でありますが、県といたしましては、引き続き愛知環状鉄道の利用促進を図る中で、複線化区間の拡大について、今後の需要動向等を勘案しながら、中長期的な課題として取り組んでまいりたいと考えております。

◯七十二番(伊藤勝人君) 御答弁をいただきました。
 理解するものは理解をしていきたいというように思っています。
 知事、大村知事は日本のデンマークと言われた安城市に本拠を置かれています。そして、衆議院議員でありました。それ以前が、農林水産省の官僚というキャリアをお持ちであります。そして、この場でも、あるいはいろんなところで、愛知県の農業産出高が国内で今や八番目、以前五番目、六番目ということもあって、農業、あるいはその取り巻く環境について非常に造詣の深い知事だと思っています。
 その後、ついに根拠法が廃止をされました。なし崩し的に交付税での予算措置が、いつの間にか全体の中で読みにくいことになるのではないかと思います。なぜか。これが交付税の中に入れてありますと言われれば、そこの交付税全体の中のどの部分なのかということが非常にわかりにくくなってくると思うんですね。根拠法がないがゆえに、国のほうは、それをいつかどこかでなくしてくるのではないか、そんな懸念も持っています。
 食料というのは、私たちは口からしか物を入れることはできません。そのことにおいて、この国が終戦後間もなくのころには六千万人ぐらいでしたが、一億二千何百万人が、ここに住んでいる。その食料を輸入に頼っているという現状を考えるときに、食料というところで問題化しておかなければいけないのではないか、食料の安全保障というところで問題化しておかなければいけないのではないかと。そんな思いを抱きながら、知事の見識、そして、愛知県での農業試験場の今後のあり方について御見識をお伺いしたいと思います。

◯知事(大村秀章君) 伊藤勝人議員から、農業施策等々についての質問をいただきました。
 主要農作物種子法の廃止について、そして、それを踏まえての対策等々について、国会での議論等々、附帯決議等々も引きながら御質問をいただきました。
 国におきましては、昨年十一月に農業競争力強化プログラムを決定し、農業者が自由に経営展開できる環境の整備とともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題の解決に取り組んでいるわけであります。今回の種子法の廃止や農業競争力強化支援法の制定は、このプログラムの改革の一つでありまして、民間事業者との連携を促進して、都道府県における種子の開発、供給の活性化を目指すというふうにされております。
 しかしながら、今回の種子法の廃止は、平成二十八年十月に国の規制改革推進会議からの提言以降、この平成二十九年二月に閣議決定され、国会に提案されるという、ある意味で短期間で進められたことから、都道府県を初めとする関係者の理解はまだまだ足りないというところではないかと思います。それは議員の御質問のとおりだと思います。
 その中で、国会におきましては、ことし四月に種子法の廃止法案が可決されましたが、議員が御指摘されておられますように、参議院の農林水産委員会では附帯決議がなされました。その内容は、これまで種子法が果たしてきた役割の継続を求めるものとなっているわけであります。
 こうした中で、本県といたしましては、種子法に基づく種子の供給体制が昭和二十七年の制定以来、一貫して主要農作物の安定生産に大きく貢献をしてきたことを踏まえまして、引き続き、農業総合試験場において、奨励品種の栽培用の種子のもととなる原種及び原原種の生産などに取り組むとともに、国に対しまして、種子法が果たしてきた役割を踏まえたガイドライン等の策定を要請しているところであります。
 今後とも、本県の農業者の皆さんが安心して高品質な米、麦、大豆の生産に取り組むことができるよう、農業試験場を初め県が主体となって、この主要農作物の種子の供給体制をしっかりと堅持していきたいと思います。
 今、規制改革の流れの中で、民間の企業との連携の中で、新たにそれらの活力を出していければという趣旨で、今回の主要農作物種子法の廃止ということがあったわけでありますが、やはり長年ずっと、特に米、麦、大豆という主要な農作物の種子の供給が果たしてきた役割も非常に大きいということでありますので、議員御指摘のように、そうしたことを、体制を踏まえながら農業試験場がしっかりその役割を果たしていく、そういうことでこの体制を堅持して進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。