◯二十三番(伊藤勝人君) 議長のお許しをいただきました。順次お尋ねいたしますが、何しろこの場は初めてであります。お聞き苦しいところが多々あるかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。代表質問あるいはさきの質問、答弁と重複する点もございますが、私なりにお聞きをいたしますので、御高配のほどよろしくお願いをいたします。
 先般、ロンドンから友人を迎えました。その折、大変興味深い話題が出ましたので、御紹介をいたしたいと思って申し上げます。
 ロンドン市内の小学校で、学校の正門の前が交通量の多い準幹線道路なのだそうであります。その道路を横断するための信号機がありません。そのために、子供たちが大変な苦労をしながら渡っている。そのことがありまして、学校が市当局に信号機の設置を依頼いたしましたら、地域、父兄から、とんでもない話だ。なぜ今まで信号機がなかったのか、それをつくらなかったのかを逆に学校に申し入れがあった。
 それは、機械で身の安全を守らせるとは何事だ。その間隙を縫ってみずから判断をして行動をする、みずから身を守ることを子供のときから身につけなくて何がアングロサクソンだ、そういう論理であります。この意味合いは、民族的に奥の深い話であり、結果、いまだ信号機はその場に設置されていないとのことであります。
 教育とは、そのことを考えるとき、まことに興味深く受けとめました、哲学であります。ちなみに、我が町であれば、信号機は必需としてその場で活躍していると私は彼に伝えたことを申し添えておきます。
 二〇〇二年、平成十四年度から完全学校週五日制が開始されました。この制度は、臨教審答申で言及され、一九九二年、平成四年度から公立学校で部分的に試行されてきました。子供たちの生きる力の育成を図り、ゆとりある教育を実現するために、学習内容を大幅に削減しました。特に、授業時間の約一割に当たる七十時間及び教育内容の三割削減であります。新学習指導要領のもとで、学校週五日制については、導入当初から親等の不安が大きく、学校運営の面でも、行事の削減や基礎的な教科学習へのしわ寄せなどの問題が指摘されてきました。
 私立学校の完全五日制の実施は五五%という状況であり、公私間の格差はさらに拡大するということになるのではないかと思われます。また、学力低下の実態が指摘され、新学習指導要領に対する批判が広がっています。文部科学省はこうした懸念に対して、「学びのすすめ」を発表しました。基礎、基本を重視し、生きる力をつける発展的な学習で個性に応じた子供の力を伸ばす確かな学力向上のために、特色ある学校づくりを推進するなどの課題が提起されています。
 これを受けて、土曜学習などの取り組みが広がり、ゆとり教育の方針にも矛盾が生じています。学校の週五日制は新学力観に基づく二十一世紀の教育改革の根幹を成しますが、新しい学力の内容が明確にされないまま、自治体や学校の対応が求められています。自由化、多様化の流れのもとで、主体的な学びをはぐくむ保障をどう実現するかが改めて問われていると言えます。
 青少年の奉仕体験活動を促進するという中教審の答申のもとで、地域と学校の連携による体験学習やボランティア活動が奨励されています。奉仕活動を義務づけるか自発的な参加を尊重するかをめぐっても対立があります。
 一方、中央教育審議会では、教育基本法改正問題、教育振興基本計画策定などが検討されています。日本の伝統や家庭の尊重を踏まえ、教育基本法の理念を見直すことが課題とされ、大学等における社会人受け入れの推進、新しい時代にふさわしい教養教育のあり方、前述の奉仕活動の促進と完全学校週五日制の実施、国立大学の独立法人化と再編、統合の改革プランのもとで二十一世紀の教育システムは大きく変容しようとしています。
 そこでお伺いをいたします。
 学校週五日制がスタートし、新しい学習要領も実施され、総合的な学習であったり、ゆとり教育が言われていますが、反面、学力の低下も問題視されています。日本は加工貿易国です。人材こそがこの国の財産であります。それゆえ、教育レベルを下げることには問題があります。今後、意識の強い家庭とそうでない家庭とで従来以上に格差が生ずるのではないかとの懸念も十分にあります。
 一つ目、制度が実施されて一年を経過いたしましたが、現状はどうなのか。二つ目は、県教委は今後どのような教育理念に立って、どのような子供に育てられようとしておられるのか。三つ目は、子供たちの学習習慣や生活習慣と学力とのかかわりについてどのように考えておられるのか。さらに、その受け皿としては、学校だけでなく地域も受け皿対策を一生懸命考えていると伺っていますが、具体的にはどのような施策を展開しておられるのか、御所見をお伺いいたします。
 そして、この問題を題材として教育現場を訪ねてみました。懸念を抱く点があります。それは、教員の高齢化です。幼稚園、保育園から子供が小学校に入学すると、途端に先生の年齢が大きくはね上がり、カルチャーショックを受けている児童が多くいることであります。教員の年齢構成は、生徒増減に左右されるとはいえ、いびつで、かつ高齢化しており、平均年齢が小学校教員で四十五歳、中学校教員で四十三歳にまでなっていると伺っています。このままでは、多くの教員が定年を迎えるころには人材不足を起こし、三十歳代の校長をつくらねばならない時代が来るのではないかと思われます。
 私のいる春日井市では、過去、小中学校合わせて十六校から人口急増時に五十二校に膨れ上がりました。その折、校長、教頭をつくるのに、手薄、持ちごま不足になり、いささか心配な人事が行われたこともあると伺っています。
 学校の五日制により、さらに学校行事が密集化し、ただでさえ教員が児童生徒と向き合う時間が減少している中、教員は身分も給料も十分に保障されており、無気力で生徒に向き合わない者もいると聞いています。
 一方、今の厳しい財政危機の状況が続けば、退職金が予算を圧迫する事態もないとは言えません。教員の新陳代謝が急務と、そのことで感じざるを得ません。
 そこで、今後の教員配置や管理職任用について、県教委はどのような姿勢で、どのような計画を持って臨もうとしておられるのかをお伺いをいたします。
 次に、愛知の教育を考える会の委員を公募する記事を商業紙面で目にいたしました。
 昨日、桂議員の問いに知事から、学校教育を知事部局において総合的に議論をする、議論をする中で問題点を浮き彫りにして愛知県の教育の進むべき方向が見えてくるならば、今後の学校教育や教育を考えるとき、意義あることとして一生懸命取り組むとの御答弁がありました。
 私のさきの質問の中の、どんな子供を育てようとしておられるのかに類型するかもしれませんが、教育の問題は県民の関心が大変に高いものであります。懇談会の運営に当たっては、県民の意見をしっかりと聞きながら取り組んでいくことが肝要であります。また、教育現場における実態や生の声を聞くことも、これまた大変に重要であると思います。
 そこでお伺いをいたします。懇談会の委員構成についてどのように考えておられるのか、また、県民からの委員募集について、その応募状況はどうなっているのかをお尋ねをいたします。
 次に、県立三大学、愛知県立大学、愛知県立芸術大学、愛知県立看護大学の将来展望についてであります。
 大学改革の進行、国立大学の独立法人化の動きの中で、国立大学の統合の動きが見られます。それは、大学の体力の強化、効率的な運営を目指した動きであります。そして、平成十三年十二月、自由民主党愛知県議団の「県有財産の有効活用及び県の施設のあり方について」の提言があります。県財政逼迫の折という状況と重ねてとらえれば、まさに県立三大学の統合は、今がその機会だと思います。
 地方独立行政法人化をも視野に入れ、本県の県立三大学の統合への検討がどう進められているのかをお伺いいたします。また、その過程におかれまして、教養部門の一元化を図ることに対してどうお考えなのかをお尋ねをし、質問を終わります。(拍手)


◯教育長(渥美榮朗君) まず、学校週五日制及び新学習指導要領が実施されて一年が経過した現状でありますが、本年三月に公表されました文部科学省の学校五日制に対する子供の意識に関する調査報告書によりますと、七割を超す子供が「よかった」と答える一方で、三人に一人が「することがなくてつまらない」と答えております。この結果からも、子供たちにとって有意義な休日の実現がより一層必要であると考えております。
 ところで、私は先日ある小学校を訪問いたしました。その学校では、新しい学習指導要領のもとで、算数の少人数学習に取り組んでいました。算数が得意でない子供たちも目を輝かせて生き生きと取り組む姿を見かけ、授業が変わりつつあることを実感したところであります。
 県としましても、学校週五日制及び学習指導要領の趣旨がより確実に実現されるよう引き続き努力をしてまいります。
 次に、教育理念と目指す子供像についてでありますが、変化の激しいこれからの社会を生き抜くには、将来直面するさまざまな問題を解決する、生きる力を持った子供たちを育成することが重要であります。そのために、自分で課題を見つけ、みずから学び、判断し、行動できる確かな学力と、他人と協力し、他人を思いやることができる豊かな心を育てることが大切であると考えております。
 各学校においては、子供たちが確かな学力を身につけるために、個に応じた指導による基礎基本の徹底や、みずから課題を持って取り組む主体的な学習を進めております。また、豊かな心をはぐくむために、家庭や地域との連携による道徳教育や社会体験、自然体験を取り入れた学習活動を進めております。
 県といたしましては、子供たち一人一人の能力を最大限に伸ばし、創意工夫に富んだ教育活動を一層推進するよう各学校に対し指導、支援をしてまいりたいというふうに考えております。
 子供たちの学習習慣や生活習慣と学力とのかかわりといったことについてであります。
 文部科学省は、平成十四年一月に子供たちの学習内容の理解状況や学習に対する意識についての調査を実施をいたしました。その調査結果を見てみますと、理解状況はおおむね良好であるものの、学習意欲や学ぶ習慣については懸念されるところであります。また、毎日の朝食、学校に持っていく物の確認など、基本的な生活習慣が身についている子供たちほど、理解状況がよいという傾向も明らかになっております。
 県といたしましては、このような結果を真摯に受けとめ、一人一人の子供がわかる楽しさを実感できる授業のあり方や、家庭での望ましい過ごし方などについて、各学校に対して指導、支援をしているところであります。
 次に、学校週五日制に対応した地域における取り組みについてであります。
 県では、五日制の完全実施に対応し、平成十四年度より奉仕活動・体験活動推進事業を総合的に実施をしているところであります。中でも、子供たちの週末等の自由な遊びや自主性、創造性をはぐくむ学習活動の拠点を確保するための子供の居場所再生事業や、地域住民との触れ合い交流活動による地域ふれあいサポート事業など、地域の実情に即したモデル事業を九市町村で実施したところでありまして、今年度は十五の市町村に拡充をすることとしております。
 また、市町村自体におきましても、独自に子供スポーツ教室や自然に親しむ親子の集い、あるいは子供大学等々、各種の事業が土日等に展開されており、県のモデル事業も含め、その延べ実施日数は五日制完全実施以前の平成十三年度と比べ倍増をいたしておるところであります。今後とも、地域におきまして子供たちの多様な体験活動ができますよう、その機会の充実に努めてまいります。
 次に、教員の高齢化への対応といったことであります。
 学校には若い活力ある教員と、経験豊かな教員がバランスよく配置されていることが大切であるというふうに考えております。
 教員の採用数を決定する主な要因は、児童生徒数の変動に伴う教員定数の増減と退職者の数であります。過去十数年の間、児童生徒の減少が続いておりまして、採用数をふやすことができない状況にございましたが、そうした中でも平成十一年度から三年間には、勧奨退職者の特例措置を導入して、少しでも新規採用者をふやすよう努めてまいりました。
 ようやく小学校の児童数が平成十四年度から増加に転じ、順次中学校、高等学校の生徒数も安定的に推移することが見込まれておりまして、来年度の新規採用者につきましても、対前年二百五十五人募集増をしたところであります。今後は徐々に平均年齢も若返ってくるものと考えております。
 また、管理職任用につきましては、意欲があり、管理・指揮監督能力にすぐれた人材を積極的に登用しつつ、適切に対応することができるものと考えております。
 以上であります。


◯企画振興部長(鈴木克幸君) 愛知の教育を考える懇談会についての御質問のうち、まず、懇談会の委員構成についてでございます。
 懇談会におきましては、愛知の教育をめぐる幅広い視点からの議論、また教育の実態を踏まえた議論を行っていただくため、教育学はもちろんのこと、社会科学や自然科学の方も含めたさまざまな分野の学識経験者や、経済界あるいは労働界の方、教育現場の方、さらには青少年問題に携わっている実務家など、幅広い分野の方々に参加していただきたいと考えております。
 また、懇談会において県民の生の声をお聞きするため、二名程度の委員を県民からの公募により選任することとしております。
 次に、県民からの委員募集の応募状況についてでございます。
 五月末から六月中旬にかけまして募集をいたしましたところ、男性三十四名、女性二十四名、合計で五十八名の方々から応募がございました。これらの応募者の中から懇談会委員としてふさわしい方を選んでまいりたいと考えております。


◯県民生活部長(中谷光孝君) 県立三大学の将来展望についてのお尋ねでございますが、社会経済のグローバル化、高度情報化、少子・高齢化など、大学を取り巻く状況は大きく変わってきており、県立大学もこうした動きに対応していかなければならないと考えておるところでございます。
 国におきましては、高等教育に対する社会の要請に的確にこたえ、国際的にも評価される特色ある大学づくりを目指して、現在、大学改革を推進しており、国立大学の再編、統合や、平成十六年四月からの法人化などが行われようとしております。
 また、今国会におきましては、公立大学の法人化を可能とする地方独立行政法人法案が提案をされまして、審議をされているところでございます。
 本県といたしましても、こうした国立大学の改革状況や法人化の動向を見きわめつつ、県立三大学の将来のあり方について、法人化や統合化あるいは学部学科の再編、教養部門の一元化の可能性など、幅広い検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。


◯知事(神田真秋君) 私からも県立大学のことについて触れさせていただくわけでありますが、三大学、これからも生き抜き、かつ二十一世紀に飛躍していくためには、どうしても改革が必要であろうと思っております。
 設置者である県といたしましては、この大学の改革を進めてまいりますに当たりまして、やはりきちんとした議論を踏まえていくことが必要であると考えており、各界各層の有識者の方々で構成をする検討会議を近々立ち上げます。
 この検討会議の中で、県立三大学、それぞれ今後の将来像について十分御議論をいただく予定でございまして、その結果を踏まえ、県立大学の改革を県としてきちんと進めていきたい、そして地域社会に貢献していきたいと思っております。


◯二十三番(伊藤勝人君) それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございました。
 先ほども若干申し上げましたが、学校や子供会、あるいはスポーツ団体だとかいろんな方々とこれを議題とさせていただいたときに、いろいろお話をしてまいりました、聞いてまいりました。
 その折に、エピソードなんていうのがたくさん出てきました。皆さん方が実際何を考えておられるのかということであります。例えば、先生方の中で、多くの方々がいろいろお話をしていただいたその中で、学校において戸惑いがあります、今現在、先生方に。それは、いろいろ文部科学省が言ってきた中での生きる力を育成する、そのことへの対応ということではないかというふうに感じています。
 課題解決であったり、あるいは対人関係であったり、コミュニケーションであったり、コンピューター活用であったり、国際理解であったり、あるいはその感覚を早急に身につけないといけないのかもしれないというふうに思ってみえる先生方、あるいは子供たちにあれもこれも教えてやりたい、力をつけてやろう、そういう意欲なのかもしれません。じゃ、何から手をつけようか。中途半端な知識、あるいはみずからの経験では十分なことができないのではないか、さりとて……。そんな混乱の中に身を置いておられる姿を私は見てきたような気がいたします。時間が足りない、会議が多い。そして、学力は、体力づくりは、触れ合いは、まさに現状てんてこ舞いの状態ではないのかなというふうに思っています。
 そして、父母の皆さんは、学力については同学年の中でうちの子はどのぐらいの位置にいるのか、それが一番の関心事のような気がします。国力としての学力を考えるなんていうことはほとんど見当たりません。足りないところは塾で、何とか教室でと考えておられるというのが実態のようであります。
 また、土日、土曜日、日曜日の使い勝手は、一日は家庭で、家族で何とか面倒を見ることはできるんだけれども、あと一日はだれかに面倒を見てほしい、まさにそれが願望のようであります。親自身も持ちネタが少ないという中で精いっぱいの努力をして、もう持ちネタがなくなってしまうというようなこともおっしゃっておられました。そして、親の中には、教育的でないことは得意だけれども、それも必要かななんていうようなお話もありました。
 いま一つは、全く学校から外に出るわけでありますけれども、スポーツ団体は、あるいはそういういろいろな芸能事であったり、そういう教室事であったりする人たちは、受け皿として多くのアイデアを持っておられます。私も三団体を率いていますけれども、それぞれマニアをつくりはしないかという危惧を持ちながら、一人でも多くの子供を受け入れる、そしてルールを教える、スポーツの楽しさや厳しさをも共有させようと努力をしています。
 選択の幅を広くさせたいと思ってはいますけれども、指導者の資質の問題であったり、あるいは事故、アクシデント、それに対する社会の風潮があります。そのための保険といった問題であったり、施設利用と学校との関係、親の負担というようなさまざまな点を整理しながら一生懸命取り組んでくれているスポーツ団体というのもたくさんあります。そういう団体、クラブを学校や先生方もいま少し信用をされてはどうだろうか。そんな思いも出てきました。
 県の教育委員会には、さきにいろいろと教育長から御答弁をいただきました。そこの中で、他人を思いやる心、実はかなり前になりますが、小泉八雲さんが日本人のために残してくれた文章がまさにこのことでありました。「日本は世界一すばらしい国だ」、あの明治の時代に。その意味合いは、隣人を思いやる心が世界で最もすばらしい民族だと彼は残してくれました。そんな国にいま一度したいものだということを思いつつ、今おっしゃっていただいたような方向でよりよい成果が得られますよう最大限努力されることをお願いを申し上げておきたいと思います。
 そして、県立三大学のうち、愛知県立大学と愛知県立芸術大学は距離的にも非常に近いわけであります。そして、カリキュラムもそんなに教養部門においては大きく変わっていないと思います。二大学の教養部門の統合はさほど難しいとは個人的には思われません。
 意識の転換を図られまして、一日も早く、時代の先取りであったり財政的な配慮を含めて、愛知県もなかなかやるなと県民の皆さんや多くの方々に御認識をいただく機会にもなると思いますので、そのことを大いに期待を申し上げ、その方向に早く向かうことを御要望申し上げて、終わります。