【伊藤勝人委員】
 COP10について伺う。開催を前にして少しずつ認知度が上がっていると思う。しかし、今朝、「今日からCOP15がコペンハーゲンで始まるが、愛知県ではCOP10を来年開催するという。今COP15をやっているのに、COP10を行うとはどういうことか」という話を聞いた。報道はされるようになったが、一般の市民だとせいぜいそんなものかと思う。県民にどうやって知らせるかがこれからの大変な課題になっていくと思う。COP15は温暖化と言えばよく、CO2という敵がいるので分かりやすい。生物多様性は学者でなければなかなか分かりにくい。環境部でキャラバンセミナー等いろいろなことを参加型のイベントとして一生懸命やっていることは承知しているし、理解もしている。その中で、県民が一人でも多く認知し、参加してくれること、自分と生物多様性とのかかわりを感じることも大事だと思う。COP10が終わった後も地道にそういう活動がなされていかなければいけないと思う。将来設計をして、それが実を結ぶように仕組むことも大事だと思う。COP10は名古屋市、県内で開催されるので、一生懸命、どこよりも熱心にやらざるを得ない。誘致したから当たり前である。そこで、県民や事業者が生物多様性について実践できるリストのようなものを作ってCOP10に向けて参加を呼びかけてみたらどうかと思うが、どういう方向でやるのか、考えを聞かせてほしい。



【自然環境課主幹(生態系ネットワーク)】
 生物多様性の保全とその持続可能な利用の推進に当たっては、民間の企業などの参画が不可欠である。そのような考え方から、国は、民間事業者が生物多様性に取り組むためのガイドラインを本年8月に作成し、その普及を図っている。
 ただ、このガイドラインは比較的規模の大きな企業が対象で、ページ数も100ページ程度あり、大部なものとなっている、また、内容も高度な内容となっている。
 本県としては、もっと分かりやすく、取組がしやすく、かつ本県ならではのモノづくり県としての特質を踏まえたチェックリスト的なものを産・学・行政の協働によって作成して、その普及を図っていきたいと考えているところである。
 また、県民一人ひとりの取組については、今年3月に策定した「あいち自然環境保全戦略」で、「県民のライフスタイルの転換」を掲げており取り組んでいるところである。
 委員から、県民一人ひとりが実践できるリストを作成するという、大変良いご提案を受けたので、これについてもぜひ検討していきたいと考えているところである。


【伊藤勝人委員】
 COP9のときに、農作物を原料とするバイオ燃料の使用、遺伝資源へのアクセスと利益配分、これをABSというが、自然保護地域の指定などが焦点となった。その折に、ABSやバイオ燃料問題に対する日本政府の姿勢については欧州からは消極的だという批判も少なくなかったということがいろいろな文献に載っている。
 企業や生活者等に対しては、答弁にあったとおりでよいとしても、協力してもらうに当たって重要なのは、第1次産業の従事者、とりわけ農業者ではないだろうかという思いがある。水田、畑、水路、ため池は、生物にとっては非常に住みやすいと通常言われていると思うが、それらは農業に従事している人達が所有していたり管理していたりしているわけである。農業従事者にお願いをしていかなければいけないと思う。
 先般、テレビで青森のりんご農家が紹介されていた。無農薬でりんごを作ろうとしたが、虫が入ってなかなかできなかった。8年かかって成功した。草を刈らないことにより、虫を退治したという。山ではなぜ木が虫に食われないのかということから発見したということであった。培養土というか、落ち葉の下に微生物がいっぱいおり、ふわふわにしてくれる、それではっと気がついたということであった。土壌をよくして、害虫の天敵を自分の畑で育てるのだそうである。そうすると害虫を食い殺してくれる。これこそまさに生物多様性である。
 もう一つはコウノトリで、豊岡市で水田に水を張って魚が自然で出てくるようにしたら、そこに魚がわいてコウノトリを育てられた。コウノトリが育つぐらいいい環境の米であるということで、その米がブランドになったということが報道されていた。愛知県の自然環境保全戦略があるが、孤立した生態系と生態系とを緑地や水辺でつなぐことによって生物多様性をより豊かなものにするという、生物多様性ネットワークの構築が大きな柱になっていると伺っている。そうした生態系ネットワークを構成する要素として農地と水路は大きな役割を持っていると思う。生物多様性の先導的な取組を、農業活性化のきっかけとすることはできないかと思うのだが、どう考えているのか聞きたい。


【自然環境課主幹(生態系ネットワーク)】
 安全・安心で美味しい農産物を供給してくれる農業が健全に営まれている。そのことが、生物多様性の保全につながるということであり、まさに、農業と生物多様性は表裏一体のものであると思う。そのような意味で、環境部にとっては、農林水産部との連携が不可欠であると考えているところである。
 例えば、環境部では、現在、様々な生息空間をつなぎ一体的に再生保全する「生態系ネットワークの形成」に取り組んでいるところであるが、水田やため池、整備された森林などは、様々な生き物が生息し繁殖する大切な空間でもあることから、この生態系ネットワークの重要な構成要素として考えており、農業者をはじめ関係者の理解と協力をいただいて進めていきたいと考えているところである。
 農林水産部では、魚類が行き来できる水田魚道による生き物を育む場としての水田の機能向上、地域住民が一体となって集落全体で取り組む水田や水路、ため池などの水辺環境に配慮した整備などの取組を進めていると聞いており、こうした取組との連携を図っていきたいと考えている。
 また、農林水産業が産業として持続的に発展するためには、生物多様性の恵みである自然資源を再生可能な形で利用していく必要がある。このため、農林水産部では、安全良質な農業生産物を供給するための管理手法であるGAP手法の導入や、農産物の安全性の確保と環境に配慮した環境保全型農業の推進、地産地消などを推進している。
 こうした取組とも連携しながら、環境部としては、生物多様性に対する配慮という視点から、様々な啓発や体験的な環境学習などの取組を進め、生物多様性の保全と農業の振興の両立に向け取り組んでいきたいと考えている。


【伊藤勝人委員】
 農業者は農産物の品評会で賞を取ろうとすると、品評会用の果樹を作るが、それをやると収益に合わない。収益といいものを作ることの分岐点で一生懸命やっている。今日、農業の所得がなかなか上がらず、みんな町へと出てくる。収益が上がれば、自分の好きなようにできるので、みんな農業をやる。農業に従事している人たちの環境は、ため池もあれば、水田もあれば、畑もありビオトープであると思う。環境がどうだとか、環境を破壊しただとかは、町の人たちが言う。田舎に行けば行くほど自然と共生をしている率は高い。町から少し離れたところの人たちに協力をしてもらうことが必要だという考えは多分にあるだろうと私は思っている。予算の少ない環境部が何かをやろうと思っても、なかなか手がつかない。理念や考え方で成り立っている部である。予算は農林水産部が持っている。愛知県が一生懸命誘致したCOP10なので、一過性にならないようにしていくためにも様々なことを考えていく必要がある。
 環境部と農林水産部がどのような取組をしながら進めていくのか部長の考えを聞きたい。


【環境部長】
 COP15とCOP10との違いについてのお話しがあったが、むしろCOP10を覚えてもらって、そのような疑問をもっていただけただけでも有難い。いろいろな場面を通じて積極的にPRしていきたい。
 COP10という言葉がこれだけ県民の中に入っている県は愛知県だけである。全国の周知度はかなり低い状況にある。COP15がある中でのCOP10として、様々な議論が出てくるのは、ある意味喜ばしいことであるが、ただ喜んでいるのではなく、そこに情報を従来以上に発信していきたい。新聞もCOP10に向けて生き物のことを書いているが、マスコミに頼るだけでなく積極的に打ち出していきたいと思っている。来年度、5月22日の生物多様性の日に発信する、また本体会議を軸に行っていくなど、しっかり伝えて理解してもらう、少なくともこの地域が生物多様性ということについて一番知っている地域になる、そのような意気込みでやっていきたいと考えている。県民にもそのような基盤が芽生えていると考えている。
 第1次産業、農業と生物多様性についてである。COP10を一過性で終わらせないということは、みんなが思っている。生物多様性と個々の企業、農業者、市民がどういうかかわりを持つのか、発信力が弱いのも事実である。先ほど主幹が答弁したように、分かりやすくまとめたものを作っていきたいと考えている。その中でもとりわけ第1次産業はきわめて重要である。生き物の住みかとなっているところを生業としているのが農林水産業である。工場は生き物とは離れたところでモノづくりを行っている。モノづくりの中で汚染物質を出すとか、原材料を多様性にあふれたところから持ってくるなど、間接的にかかわりが出てくるもので、直接関係はしない。生業として一番関係があるのは第1次産業である。第1次産業にどのようなお願いをし、それが第1次産業の将来にとってどうなのかということが課題と考えている。
 COP10の1年前イベントで、農業はそもそも自然の中にあった物を人が取り出してきて、より生産力を高めるため手を加え、生き物の世界から離していったが、それが今日の農業であり、その結果、農薬や化学肥料を多く使い、自然のありのままから離れていっている。それを元に戻す、土作りから始めるという事例が紹介されたが、このような事例がすべての農家で通用するかは不明だが、このようなチャレンジは続いてほしいというのが環境部の思いである。
 農薬や化学肥料に頼る農業の限界もある意味指摘されているのではないかと思う。食の安全、低コストの農業、なにより環境への負荷ということかと思う。そういう中で、そのような農業の追求があっていいのではないか、チャレンジャーが出てきて良いのではないかと思うし、現に出てきていると思う。地産地消、減農薬といった動きが今後一層加速するということと、生物多様性をしっかり守っていくということが、ベクトルとして合っていくということを期待している。現に生物多様性戦略を作っているのは環境省と農林水産省である。また、本県の自然環境保全戦略では、施策の4割が第1次産業にかかわるものである。そのような中で農林水産部としっかり連携をとって、物質の循環ということをとらえて、地域のトータルの物質の循環によって、CO2も低くなり、ゴミも有効利用され、農業の健全化も進めるという、いいとこ取りになるが、そういった可能性も追求しながら、生物多様性と第1次産業、農業との両立を模索していきたいと思っている。そのためにも指摘のとおり、農林水産部とタッグを組んで取り組んでいきたいと考えている。


【伊藤勝人委員】
 愛知県が一番認知度があるというぐらいだと、他はどうだろうかという感じである。そのぐらいみんな知らない。
 愛知県でCOP10をやってよかったと言われるよう、農林水産部ときちっと連携し、協力をすると収益があるというようなものが目に見えてくる事例を作れるといいと思う。そのようなお願いをしたい。