◯四十五番(伊藤勝人君) 第六款健康福祉費第四項高齢福祉費のうち、後期高齢者医療制度についてお尋ねをいたします。
 平成二十年の四月に、後期高齢者医療制度が始まり、二年がたとうとしています。制度の運用が始まった当初は制度の周知が十分でなかったことで、その趣旨や内容がきちんと理解されなかったことや、制度運営のための準備期間が短かったことで、事務手続上の混乱が生じたことなどにより大きな批判が寄せられました。
 その後、国が保険料の軽減措置や年金からの天引きの見直しなどの制度改善策を講じたことや、制度運営の現場である広域連合や市町村の努力などにより制度は定着してきたと思っています。
 現政権は、後期高齢者医療制度を廃止して、新しい高齢者医療制度を創設するとしており、その検討も始まっているようでありますが、現行制度についての批判をとりあえずかわすだけの小手先だけのものでは、真に将来を見据えたものとはなりません。よりよい制度に見直していくことについてはやぶさかではありませんが、そのためには、将来にわたって持続可能な制度とするよう、今後の医療費の見込みなどを的確に推計した上で、費用負担のあり方やその財源について十分な検討を行っていく必要があります。
 新たな制度に移行するとのことですが、当面はその制度が続くことになります。その間は安定的に運営されなければなりません。後期高齢者医療制度においては、保険料の額は二年ごとに定められることとなっており、この四月に初めて保険料改定を迎えますが、国によりますと、何らの増加抑制策を講じない場合、全国平均で約一四%保険料が増加する見込みとのことであります。
 そこで、国としては、保険料の増加抑制を図るため、昨年十月の概算要求の時点では予算措置も検討していたようですが、結局見送られ、都道府県に設置している財政安定化基金を取り崩して活用するよう要請したところであります。
 財政安定化基金は、本来、保険料の減収や見込み以上の医療給付費の増加により、広域連合の財源が不足した場合に対応するために設けられているものです。とはいえ、保険料の大幅な増加は、高齢者の方々に不安と混乱を生じさせることとなり、制度の安定的な運営に支障を来すことにもつながりかねません。よって、この基金を保険料の増加抑制に活用することはやむを得ないと思います。
 そこでお尋ねをいたします。
 国は、何ら増加抑制策を講じない場合、平成二十二年度、二十三年度においては、保険料が全国平均で一四%増加するとしておりますが、どのような要因でそのような大幅な増加となるのでしょうか。
 また、県においては、今回の保険料の増加について、財政安定化基金を積み増しして取り崩し、広域連合へ交付することにより、二十一年度に比べて約五%の増加に抑えるとしていますが、五%とするのはどのような考え方によるものなのですか、お尋ねをいたします。
 次に、歳出第七款産業労働費第二項商工費のうち、アジア経済連携の推進についてをお伺いいたします。
 リーマンショック後の世界的な金融危機、本県経済とりわけ、輸出産業に厳しい状況をもたらしました。結果、雇用情勢の一層の悪化や、デフレ圧力の高まりによる需要低迷など、懸念される状況にあります。
 当面の重点施策としましては、雇用対策と中小企業の経営支援策に全力を上げて取り組むことが求められると思います。
 一方で、次の景気回復を見据え、本県産業の中長期的な成長を支えていく取り組みを同時に進めていく必要があると思います。県では、既に知の拠点の整備や、航空機宇宙産業、あるいは医療機器産業の振興など、本県の産業の発展を促進する取り組みを始めておりますが、私は、それらの取り組みに加え、アジアの成長を本県産業の発展に取り込むことも今や大変重要だと思います。
 世界経済の状況を見ますと、先進国の深刻な経済停滞とは裏腹に、新興国の経済は力強く回復しつつあります。国際機関のIMFが予測している、ことし、二〇一〇年の世界主要国のGDP成長率を見ますと、日本やアメリカ、EUといった先進国が一%から二・七%と低い成長見通しにとどまっているのに対し、新興国、とりわけアジア地域は、中国の一〇%、ASEANの四・七%を初めとして、非常に高い成長が見込まれています。また、アジアの新興国では、そうした高い経済成長に伴って、各国で富裕層の拡大や中間所得層の大幅な増加が見られ、今後消費市場としても大きな成長が見込まれています。さらに、ことし中には、中国のGDP規模が我が国のそれを凌駕し、世界第二位になるとの見通しも出ています。
 少子化、高齢化が急速に進行し、国内市場が徐々に縮小していく我が国と対照的に、今やアジア地域が世界の成長センターとなりつつあるという事実を私たちは重く受けとめる必要があると思います。
 そうした中で、我が国が今後継続的に経済を維持発展させていくためには、隣接するアジア地域の成長力、活力を取り込み、企業や地域の活力の維持発展に活用していく取り組みが、大変重要になってきているのではないのでしょうか。
 県では、昨年度、新たにアジア経済連携を打ち出し、県内企業の関心が高く、今後多くの企業進出が見込まれるベトナムと、既に多数の県内企業が進出している中国・江蘇省との間で、経済交流に関する合意文書が締結されました。そして、進出企業の支援窓口として、現地にサポートデスクを設置し、本県からの進出企業や現地での事業展開を検討している企業の支援を行っていると伺っております。私は、本県企業が県内に本社機能を維持しつつ、アジアで積極的な事業展開を行うことにより、アジアの成長力、活力を取り込んでいくことが本県産業の今後の発展にとって不可欠です。その意味で、本県企業の海外での事業展開を支援するアジア経済連携のような取り組みが今後さらに重要になってくると思います。
 そこで伺いますが、このアジア経済構想について、県が取り組みを始めてから一年近く経過をしていますが、これまでどのような事業に取り組んでこられたのでしょうか。また、これまでの実績を踏まえて、来年度はどのような事業に取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
 以上であります。


◯健康福祉部長(野村道朗君) 後期高齢者医療制度における保険料抑制につきましてお尋ねをいただきました。
 まず、後期高齢者医療の保険料が平成二十一年度に比べて、全国平均で約一四%増加することとなる要因についてお答えをいたします。
 昨年の十一月に国から、保険料の増加抑制の要請がございましたが、その際に、平成二十一年度に比べて、何らの抑制策を講じない場合は、保険料の増加が約一四%になるとの見込みが示されたところでございます。その主な要因といたしましては、まず、保険料の積算基礎となる医療給付費の算定対象期間が、制度創設初期の平成二十、二十一年度は二十三カ月であったものが、平年度化いたします平成二十二、二十三年度では二十四カ月になることによるものでございまして、これにより約四・三%増加することとなります。
 次に、後期高齢者医療制度におきましては、制度運営に要する費用の五〇%を国、県、市町村による公費で賄い、残りを現役世代からの支援金と、高齢者の保険料で賄っております。そして、この支援金と保険料の負担割合でございますが、現役世代と高齢者の人口構成比により変わっていく仕組みとなっておりまして、この仕組みによって、制度が運営開始された平成二十、二十一年度は、高齢者が負担する保険料は、全体費用の一〇%で設定されておりました。平成二十二、二十三年度は、これが一〇・二六%となり、保険料も約二・六%増加することとなります。
 また、医療の高度化や高齢化の進展などによりまして、一人当たりの医療給付費も増加が見込まれており、この要因によって約四・三%保険料が増加をいたします。
 こうした要因によりまして、全国平均で約一四%の保険料増加が見込まれたところでございます。
 次に、本県における保険料の増加を五%程度に抑制する考え方につきまして、お答えをいたします。
 本県でも、何らの対応策を講じない場合は、平成二十二年度の一人当たり平均保険料は、二十一年度に比べて約一二%の大幅な伸びが見込まれておりました。
 こうした状況の中で、広域連合長、市長会長及び町村会長から、現在の厳しい経済情勢や市町村国保の保険料の伸びなどにかんがみて、保険料の大幅な増加について高齢者の理解を得るのは困難であり、保険料の増加抑制を図ってほしい、こういう強い要望がございました。
 また、本県と同様に、保険料の大幅な増加が見込まれる人口規模の大きな他の都道府県におきましても、五%程度の増加に抑制する方針となり、それらとの均衡を失すれば、県内高齢者の方々の御理解は一層得にくくなると、このように危惧をされたところでございます。
 一方で、保険料が増加する要因のうち、先ほど申し上げました、保険料の積算基礎となる医療給付費の算定対象期間が二十三カ月から二十四カ月になることによる約四・三%の増加につきましては、単に制度上の算定対象期間のずれによるものでございまして、実質的な保険料の増加分としてとらえるべきではないと、このように考えられます。
 これらのことを総合的に勘案しまして、本県におきましては、財政安定化基金を積み増して、取り崩すことにより、後期高齢者医療の保険料増加をおおむね五%に抑制してまいりたいと考えたものでございます。


◯産業労働部長(富吉賢一君) アジア経済連携の推進についてお答えをいたします。
 まず、これまでの取り組みについてでございますが、平成二十年三月にベトナム政府との間で、また、同年十月には中国・江蘇省政府との間で、それぞれ経済交流に関する合意文書を締結いたしまして、これに基づき、平成二十一年三月にベトナムのハノイに、平成二十年十二月に江蘇省南京に、それぞれ愛知県からの進出企業の支援拠点として、サポートデスクを設置いたしました。
 このサポートデスクにおきましては、開設後これまでに、愛知県からの進出企業との意見交換会をベトナムで七回、江蘇省で六回開催いたしました。そこでは、例えば道路などのインフラの早急な整備でございますとか、予告なしに行われる停電問題、こういった問題の解決など、企業から切実な要望が出され、県といたしましては、相手政府と協議した際にこれらの要望を伝え、改善を求めたところでございます。
 また、今後の事業展開を検討中の県内企業に対しましては、昨年十一月に江蘇省、十二月にベトナムへそれぞれ経済ミッション団を派遣いたしました。江蘇省では、環境・省エネルギー分野の中国企業との商談会などを行いましたし、ベトナムでは、日系企業が多数進出する工場団地を視察いたしまして、管理会社からお話を伺うといったことを実施したところでございます。
 さらに、江蘇省におきましては、省政府の協力を得て知的財産セミナーを開催するなど、知的財産保護に関する取り組みも進めております。このほか、ベトナムにおきましては、地域振興部におきまして、帰国留学生のネットワークづくりに取り組んでおりますし、また、江蘇省におきましては、環境部が民間技術者を江蘇省に派遣して、環境技術協力を行うなど、県といたしまして幅広く経済交流事業を展開しているところでございます。
 次に、来年度以降の取り組みについてでございます。来年度につきましても、引き続き現地のサポートデスクの運営を軸に、愛知県からの進出企業などの支援を行ってまいりますとともに、関係部局とも連携し、先ほども申し上げましたような交流事業も進めてまいります。
 加えまして、県内企業の新たなビジネス展開を一層促進するため、来年度、新たにベトナムにおきまして、ベトナム最大の機械関連の見本市でございますMTAベトナム二〇一〇に出展を希望いたします中小企業に対しまして、県ブースを提供するなどの支援を行ってまいります。
 また、江蘇省におきましては、ことし、県と江蘇省が友好提携三十周年を迎え、南京で記念行事が行われますことから、その一環といたしまして、本県企業と中国企業との交流を促進する事業を開催してまいります。
 なお、アジア連携の取り組みを始めて以降、世界的な経済変動やアジア地域を中心に我が国との間で経済連携協定の締結が進むなど、非常に大きな環境変化が生じていますことから、アジア連携につきまして、今後どのような方向で進めるべきかについて、来年度検討していくことといたしております。
 以上でございます。