◯七十五番(伊藤勝人君) 愛知県議会海外調査団の一員として調査を行ってまいりました。その報告を兼ね、質問をいたします。
 パリのパレ・ド・トーキョーも視察をしてまいりました。物を見てつくづく思ったことでありますが、ついこの間、とあるお店に買い物に行きました。子供がコロッケをひょいとつかんで、お母さん、コロッケ買ってくれ。お母さんは、だめです、きょうはそれを買う予定はありません。厳しくおっしゃっていました。子供はだだをこねて、買ってくれーっと。久しぶりにだだをこねる子供を見ました。私は、頼もしい子になるな、そんな思いをしたわけでありますけれども、お母さんは本当に経済観念が発達しているんでしょうね、だめですと最後まで言い切っていました。最後に手をぽんっとたたきましたら、コロッケが下にぽっと落ちたんですね。それをひょいと拾い上げて、もとあったところに置かれました。その光景を見た私は、うちへ帰って家族会議を開きました。我が家の結論は、コロッケを買うときは一番奥のものから買おうという結論に達しました。これは、まさに落語の中でいう落ち部分で、思考のすれ違いであります。パレ・ド・トーキョーで視察をしてまいりました私の思考の違いを少しお話しさせていただきたいと思います。
 こちらは、従来の美術館のように単に芸術作品を置いて鑑賞するだけではなく、生きた芸術を目指し、経験、体験をしてもらうことを目的として、パリの現代アートの拠点として活用されています。作家を肌で感じるよう、例えば食事をする場所、本を読める場所が設置してあります。
 来年は、セーヌ川沿いに四百席のレストランをオープンし、映画も上映できるようにするとのことでありました。アーティストの頭の中をそのままイメージして体験できるように展開していくという考えであります。
 パレ・ド・トーキョーのネーミングの由来は、日本の東京とはかかわりないということです。目の前にセーヌ川が流れており、その川岸をトーキョー川岸と呼んでいた、そのために住民がこの建物をトーキョー宮殿と呼んでいたということであります。
 建物自体は一九三七年の古い建物であり、二〇一二年に大幅に改修され、八千平米から二万二千平米の大きさに広げられました。建物の東側が市の建物であり、西側が国の建物である特殊な形をとっているため、財政モデルも特殊であり、予算のうち半分は国から、人件費等の経常費が主であり、収入の残りは自己財源、空間の貸し出し、企業による寄附で運用しているとのことであります。
 さまざまな失敗を経て、現代クリエーションサイト構想が発表され、建物全体を使った展示ができる今の形になりました。建物が広大なため、展示品が全くないときで二時間半、全ての展示物を見ると五、六時間かかるほどだそうです。展示は四つのタイプに分かれ、それぞれ展示期間が異なっています。常設展はなく、臨時展のみで構成をされています。
 一つ目は、期間が一年、もしくは一年半続くもので、その場の空間を破壊し、パレ・ド・トーキョーの芸術性意図を伝えることが目的だそうです。視察期間に行われていたのが、ピーター・ブルネットやクリスチャン・マクレといった、私は知りません、芸術家のこのタイプの展示でありました。
 二つ目は、ある作家、テーマに焦点を合わせた一般的な展示タイプ。
 三つ目は、無名な芸術家にスポットを当てて、二カ月ほど取り上げるモジュールタイプ。
 四つ目は、時事問題、政治・社会的問題に対応する形で、非常に短い期間で展示するタイプ。
 ただし、これらの方針、手法を永久的に続けていくのではなく、常に新たな手法に転換していくとのことでした。常にラジカルな新しいものを展示し続けることを使命としているが、古いものと現代アートを上手に展開していくことも計画されているとのことでありました。二〇一四年には、ルーブルと共同の展示を行うということでした。これが説明をいただいたことであります。
 説明を受けているときにひょいと前を見ていましたら、鉄といいますか、金属で逆三角すいのものがつるしてありました。それを私はじーっと見ていました。どこから運んだんだろう、何トンぐらいあるのかな。ひょっとして、このはり、これだけの重さに耐えられるのかな、そんなことを考えていました。私にそれほど考えさせる作品はすばらしい作品だとそのときに思いました。
 熱心に熱心に御説明をいただいて、通訳の方も私たちに少しでも多く伝えようと努力しておっていただけることも十分伝わってまいりましたが、それも気になり出しますと、気もそぞろに、私には理解できない作品でありました。
 今思うと、人にそれほど考えさせる作家というのはすばらしいと思います。その作品についても解説、説明を受けました。しかし、ただそれだけです。きっとすばらしい作品をまたいっぱいつくっておられるだろうということも想像しました。
 美術、芸術には歴史があります。忠臣蔵も、蝶々夫人も、ピカソも、モジリアーニも、岡本太郎も、狩野探幽も、雪舟も、そしてライオンキングも、そのときは新作だったはずです。淘汰され、評価され、見直され、それぞれのその時代に一定の評価を受けていくものです。感性を持つ芸術家が先端を走り、その折々に残っていくものが古典となり、後世の財産になるものだと、この年になって一定の理解を受けることができます。もう少し感性のある子に生んでくれたら、そして万物詩情に。
 そこで、ただいま申し上げましたパレ・ド・トーキョーの視察結果について、同じく現代美術のトリエンナーレを推進している県として、どのような見解をお持ちなのかお伺いいたします。
 続いて、早いもので、来年八月のあいちトリエンナーレ二〇一三の開幕まで残すところ八カ月と迫ってまいりました。こうした中、専門家から高く評価されるとともに、想定を大きく超える五十七万人もの来場者を迎え、しかも、その約八割が次回に期待しているという二〇一〇年の第一回の成果を受けとめ、あいちトリエンナーレの事務局では鋭意準備を進められています。
 最近の動きを事務局に尋ねましたところ、開幕一年前に当たることし八月には、子供たちのヒップホップダンスを中心としたPR隊が編成され、イベントや集客施設などの県内各地でPR活動が行われています。
 また、十一月三日、文化の日には、来年のあいちトリエンナーレ二〇一三で新規事業として実施する建物公開イベントのプレ事業として、愛知県庁や名古屋市役所、名古屋市市政資料館といった建物の魅力や価値をガイドつきで紹介するイベントが実施されております。
 さらに、次のトリエンナーレに参加するアーティストで、ジョン・レノンの夫人であるとともに、音楽家、平和活動家として高い評価を受けておられますオノ・ヨーコさんに御協力をいただき、彼女のメッセージを盛り込んだリーフレットを作成して、この十一月に、愛知県と名古屋市の教育委員会、学校を通じて、県内全ての小中学生と高校生約八十五万人に配付するという大変特色のある取り組みを行うなど、着実に開催機運の盛り上げが図られております。
 また、つい先日の十二月四日には、東京の日本プレスセンターで企画発表会が開催され、現代美術のアーティスト七十五組程度を初めとして、最終的には全体で百組以上のアーティストを国内外から招聘するところ、これまでに約半分に当たる五十組程度のアーティストの招聘が決定したとのことであります。
 発表されたアーティストの顔ぶれを見ましても、先ほど申し上げましたように、オノ・ヨーコさんのほかにも、愛知県立芸術大学出身で世界中の女性や若者に絶大な人気を誇る奈良美智さんや、二〇一〇年のベネチアビエンナーレの国際建築展で金獅子賞を受賞した建築家の石上純也さんなど、知名度が高く迫力のあるアーティストが含まれております。どのような作品が飛び出すのか、その展開を今から心待ちにしているところであります。
 そこでお尋ねをいたします。
 年が明けますとあっという間に今年度も終わり、瞬く間に開催の時期を迎えることとなります。まさにこれからが準備の正念場となりますが、開幕に向けて今後どのような取り組みをしていくのかお尋ねをいたします。
 次に、大規模災害時における消防団活動指針についてお尋ねをいたします。
 東日本大震災から一年と九カ月が経過しました。我が国観測史上最大規模の大地震は巨大津波を引き起こし、約二万人の人々が犠牲となられるなど、かつてない甚大な被害をもたらしました。
 その中で、目覚ましい活動をしたのが消防団であります。被災地の消防団は、災害直後の極めて厳しい状況下にあり、それぞれの地域において統率力と機動力をいかんなく発揮し、団員みずからも被災者でありながら、防潮堤の水門閉鎖、住民の避難誘導、消火活動、救助捜索、救援物資の輸送、避難住民への支援等、広範な活動を献身的に行ったことを聞いております。
 また、被害の少なかった地域の消防団は、みずからの管轄区域を超えて被害の大きかった地域の支援を行いました。そういった状況の中で、不幸にも二百五十人を超える極めて多数の消防団員が殉職されましたことは、まことに痛恨のきわみであり、謹んで哀悼の意を表します。
 しかしながら、このような使命感や勇気あふれる消防団員の活動により多くの命が救われましたことは被災地にとって大きな支えとなりました。そして、誰よりも真っ先に災害現場に駆けつけ、各種応援隊が引き上げた後も最後まで活動した消防団員のその姿は、私たちに消防団の果たす役割の大きさを改めて実感させることになりました。
 こういった東日本大震災における経緯を踏まえ、国におきましては、昨年十一月に、学識経験者や消防関係者十八名から成る東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会を設置し、十カ月間にわたり、津波災害時の消防団の安全確保対策や消防団への入団促進策などを検討し、ことし八月に報告書を公表しました。
 これによりますと、消防団員の安全確保のために避難ルートなど安全管理マニュアルの整備や安全靴など基本装備の充実、無線等の整備などが必要であるとし、また、若者が入りやすい消防団とするために、処遇の改善、事業所への働きかけ、地域ぐるみの取り組みなどを求めています。
 今後は、この報告書の内容を踏まえ、国、都道府県、市町村、住民、事業所はそれぞれの立場で取り組みを進め、消防団を核とする地域の防災力の強化を図っていく必要があります。
 一方、愛知県におきましても、今回の大地震とその教訓を踏まえ、十一月十九日に、関西学院大学の室崎教授を座長とし、消防団関係者や学識経験者約十七名から成る大規模災害時における消防団活動のあり方検討会を開かれ、消防団活動指針を策定されました。この検討会は、大規模災害時における消防団の組織運営や消防団活動を支援するために都道府県レベルでは初の試みとして設けられたものであります。
 本県の消防団は、昭和二十三年度発足いたしましたが、発足当時の団員数は七万三千五百四十七人でありました。その後、消防の常備化、都市化の進展による地域コミュニティーの変化や少子・高齢化、就業者のサラリーマン化などにより県内消防団はどこも団員数を減少させ、本年四月一日現在、団員数は二万三千六百八人となっております。このまま団員の減少傾向が続けば、消防団自体の弱体化を招き、ひいては地域の防災力の低下が懸念されるところでありますが、県内の消防団はいずこも団員の確保に苦慮しているところであります。
 さらに、この地域においては、南海トラフを震源域とした東海・東南海・南海地震の三連動地震等の発生が危惧されております。しかしながら、現在の消防団活動はこうした大災害を想定しておらず、大規模災害に対する準備は必ずしも十分とは言えません。
 例えば、東日本大震災では、避難所支援や遺体搬送など、通常の消防団の活動とは異なる活動が行われました。当初は想定していなかった広域的な活動が行われた等の課題が明らかになっております。
 このため、大規模災害時において、消防団活動の活動範囲や優先順位、各市町間の協力体制等についてあらかじめ考えておく必要があります。本県の検討会が策定した指針は本県の実情に根差して検討されたものであり、消防団実務をとり行う市町村においては大いに期待をしているところであります。
 そこでお尋ねをいたします。
 この指針の特色はどのようなものかお伺いをいたします。また、この指針を県としてどのように活用していくのか、あわせてお尋ねをしておきます。
 以上であります。(拍手)


◯県民生活部長(大野明彦君) あいちトリエンナーレに関する御質問のうち、まず、パレ・ド・トーキョーの視察結果に対し、どのような見解を持っているかとのお尋ねでございます。
 パレ・ド・トーキョーでは、来場者に作家自身、あるいは作家の考え方を身近に感じる体験をしてもらうことを目的としているとの冒頭にお話がございました。さまざまな仕掛けにより個々の作家や作品に親しみを感じてもらうことは、現代アートの関心を一層高める上で大変有意義な取り組みであります。
 こうした認識のもと、あいちトリエンナーレ二〇一三におきましても、見るだけではなく、例えばさわることができたり、中に入ったりすることができるような体験型の作品を取り入れてまいりますし、作家によるワークショップも実施したいと考えております。
 また、世界のさまざまな国から作家が参加する中で、作家のこれまでの活動実績や出品作品の制作意図、さらには、その背景にある歴史的、社会的な事象などをわかりやすく解説する講座を行うことも検討してまいります。
 次に、あいちトリエンナーレの開幕に向けての取り組みについてお答えいたします。
 今後、来年八月の開幕に向けて、現代美術の国際展や舞台芸術公演などの企画の具体化を進めるとともに、開催機運の盛り上げに努めてまいります。
 まず、企画の具体化につきましては、十二月四日に発表いたしました二十一組を初め、現在までに、現代美術と舞台芸術を合わせて四十七組のアーティストが決定しておりますが、今後さらに選定作業を進め、来年三月を目途に、およそ百組に上る全ての参加アーティストを決定する予定であります。
 また、美術館だけではなく、町なかも含めた魅力的な展示空間や作品の多さと多様性など、トリエンナーレの特色を最大限に生かしつつ、作家や作品の個性に応じた具体的な配置や見せ方など展示の計画の検討を進め、具体化してまいります。あわせて、開催機運の盛り上げにつきましても、来春からポスターやチラシ、交通広告、新聞広告などによる集中的なPR活動を実施してまいります。
 さらに、開幕が近づきますと具体的な作品制作や展示作業が始まってまいりますので、それら準備段階の情報も含めて、マスコミに効果的に取り上げてもらうような働きかけを行ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、多くの方々に御来場いただき、新鮮な驚きや発見を体験していただけるアートフェスティバルをつくり上げてまいりたいと考えております。


◯防災局長(小林壯行君) まず、大規模災害時の消防団活動指針の特色についてのお尋ねでございます。
 本県では、今年度、大規模災害時に消防団の組織力や能力を最大限に発揮できるよう、県内外の有識者や消防関係者から成る大規模災害時における消防団活動のあり方検討会を設け、消防団活動指針を策定し、大規模災害時の効果的な活動を支援するための方策を示しました。
 例えば、大規模災害発生直後に想定される消防団活動の範囲を地域により異なる被害状況に応じて、都市部、平野部、沿岸部、山間部の四つの地域に分け、時系列に従って、水門の閉鎖や避難の誘導、救出・救護活動などの優先順位を定めるとともに、安全に活動するための必要な人数を提示しております。
 また、市町村間の協力応援体制については、より実効的なものにするため、あらかじめ派遣対象消防団員や派遣対象地域を明確にして、具体的な応援協定を締結することを提示しております。
 次に、指針の活用についてであります。
 県といたしましては、今回策定した指針に基づきまして、市町村において地域に応じた消防団活動マニュアルを作成し、大規模災害時における消防団活動をより効果的に実施していくことが必要であると考えております。
 このため、市町村に対しましては、来年一月に研修会を開催する予定としており、具体的には、検討会の座長である関西学院大学の室崎教授を講師としてお招きし、消防長、消防団長、市町村消防団担当課長を初めとする消防団関係者にこの指針の目的や狙いを説明し、内容の理解を深めていただきたいと考えております。
 さらに、新年度は、マニュアル作成について一層の機運を高めるため、それぞれの地域に応じたきめ細かい内容の説明会をブロックごとに開催するとともに、県から直接市町村に出向いた上で、さらなる情報提供や助言を積極的に行い、マニュアル作成を促してまいる予定であります。
 以上でございます。


◯知事(大村秀章君) 伊藤議員の質問のうち、私からも大規模災害時の消防団活動指針の基本的な考え方や今後の方向性についてお答えを申し上げます。
 東日本大震災では、被災地の消防団による数々の目覚ましい活動が行われておりまして、こうした災害では、地域に精通し、統率力のある消防団の果たす役割が大いに期待されているところでございます。
 今回策定いたしましたこの指針は、都道府県レベルでは初の試みでありまして、指針策定に際しましては、県内二万三千六百八人全ての消防団員を対象としたアンケートを実施いたしまして、現場で活躍する消防団員の声を反映させております。
 今後は、各消防団が大規模災害時にその力を最大限に発揮し、被害を最小限に食いとめることができるよう、この指針をもとに、それぞれの地域の実情に応じた消防団活動マニュアルを作成していくことを全面的に応援してまいりたいと考えております。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。