【伊藤勝人委員】
 この委員会の1年を振り返ると、東日本大震災の災害廃棄物の受入れ問題が最も興味を引いた問題だったと思う。私たちも新たに勉強し、様々な議論が活発に行われた。
 2014年の秋にESDに関するユネスコ世界会議が開催される。本県の先進的な取組をしっかりPRしたいと思うし、県民への啓発活動の重要性などについても議論した。
 エネルギー対策としては、設置数が日本一である住宅用太陽光発電施設の更なる設置促進や県有施設の屋根貸しによる太陽光発電事業の取組について議論した。
 更に、県民にとって非常に重要な施設である衣浦港3号地廃棄物最終処分場の安定的経営の確保の必要性についても議論がなされた。
 最近では、微小粒子状物質であるPM2.5が話題となっている。監視体制を整えて環境部としてもしっかりと対応してほしい。
 このように、当委員会では非常に幅広い領域について議論を行ってきた。
 そこで、3月に勇退する環境部長と技監に、今ここで改めて、環境行政に携わってきた中で何を感じ、何を考えてきたのか話してほしい。特に、今後も環境行政に取り組んでいく後輩職員に向けたメッセージをお願いする。


【環境部技監】
 昔は企業も、規制を行う行政側も緊張感を持っていたが、昨今、企業によるデータの改ざん問題や虚偽報告、水質汚濁法違反など、あってはならないことが起きている。企業には気の緩み、行政には目の曇りが感じられる。
 規制行政は、厳格に機会を捉えて行う必要があり、我々の使命だと思っているので、後輩にはその点を十分に自覚してやってほしい。
 また、藤前干潟の問題に関わった経験から教訓として残したいのは、新たな視点から物を見なければいけないということである。当時、干潟の生態系は重要視されていなかったが、干潟に安易にごみを捨てる、ごみの埋立て処分場を設けることについては、ごみを減量化し、再利用する、いわゆる資源循環の考え方をもっとしっかりやるべきだったと反省している。
 愛・地球博の開催にあたっては、海上の森を開発するため、全国の自然保護団体とのやりとりがあった。非常に沢山の議論を重ねて、会場を移すことで合意を得て、博覧会が成功した。そこで感じたのは、生態系保全をしっかりとやらなくてはならないということであった。
 博覧会では、再生可能エネルギーを使って、未来の都市や生活を実現してみるという試みがあった。そこでは、これから我々が目指していく資源循環社会、生物多様性の保全などについて、将来を見据えてしっかりやっていかなければならないことを体験させてもらった。
 後輩には、その辺をしっかりと押さえつつ、厳格な規制行政も忘れずに、腰を据えて仕事をやってほしい。


 【環境部長】
 私は環境部を5年、旧民生部を15年、福祉を15年ぐらい経験した。私が福祉業務をやっていたときの考え方は、「ろうそくを1本1本持ち寄れば、世の中を明るくすることができる。一人でできることは小さいが、みんなでやれば、世の中を明るくすることができる」であったが、環境部に来ても一緒だと思った。福祉では互助という言葉を使うが、環境部では協働という言葉をよく耳にした。協働も一緒で、自分のできることは小さいが、環境の取組を一人ひとりがしっかりやれば、地球規模の環境を良くすることができ、次の世代につながっていく。我々の世代だけでなく、ろうそくを次の世代に引き継いでいけば、ずっとつながっていくという考えで臨んできた。
 ここ数年の私の環境行政に対する思いとしては、地球温暖化対策や生態系ネットワークなどの比較的派手な業務も大事ではあるが、がれきや放射能、PM2.5、衣浦港3号地廃棄物最終処分場など、県民の安全・安心に関係した話が大事であり、環境行政の基本はそこにあると思う。したがって、大気、水、土壌の環境測定は継続的にやっている。企業に対する規制行政もやっており、それも軽んじるわけにはいかない。
 また、将来のあるべき環境の姿をはっきりさせることも重要である。今、環境部ではいろいろな計画ができており、新しい温暖化戦略や環境学習行動計画もできた。生態系ネットワークの自然環境戦略や自動車環境戦略も間もなくできる。我々はよく環境首都という言葉を使うが、環境首都あいちとはどういう姿なのか、これらの新しい計画を踏まえて、環境部の職員として環境首都とはこういうものであると明確にイメージして、考え方をはっきりさせる必要がある。今、我々は、環境行政の憲法とも言うべき環境基本計画の見直しに着手したが、環境首都の姿をそこでしっかり議論していかなければいけない。
 最後に、災害廃棄物の受け入れ問題のときに思ったが、極めて高度な判断が必要な時は、人間として60年間生きてきた常識で判断すればよいと思った。環境アセスメントという言葉があるが、私は心の中に、常識アセスメントをいつも持ち、常識で判断するよう、常に心がけていた。
 後輩の皆さんは、部長がそういうことを言っていたと頭の片隅に入れていただき、そのような判断をしてもらえればありがたいと思う。


【伊藤勝人委員】
 二人から非常に重みのある、胸の熱くなるようなお言葉を伺った。私たち議員もしっかりと受け止めていきたいと思う。