【伊藤勝人委員】
 最近、製造業や商業、福祉・介護、農業等と話をすると、あらゆる分野で人手が不足していると聞く。
 日本全体の社会構造の中で、人が足らず、どうしていくのか非常に心配している。
 県としては、労働力不足についてどのような認識でいるのか伺う。


【産業労働政策課主幹(広報・企画調整)】
 産業労働部では、農業を除く県内中小企業の実態把握を目的に、年4回、2,000社に対して、往復はがきによる景況調査を実施するとともに、春と秋の年2回、約100社を対象に、訪問ヒアリング調査を実施している。
 その結果によると、景況調査では、直近の7月から9月期で、行政に今後強化してほしい支援策の項目として、人材確保支援を挙げる企業が、産業全体で38パーセントを占め、製造業においては、38.2パーセントを占めている。これは、金融支援策の充実に次ぐ2番目に多い要望項目となっている。
 また、春に実施したヒアリング調査では、115社を調査し、主な経営課題として人材不足・人手不足を挙げた企業が46社、40パーセントあった。また、詳細はまとまっていないが、秋に実施した調査においても、112社中37社、33パーセントの企業が、人手不足を経営課題として挙げている。
 こうしたことから、県内中小企業の経営課題の大きな項目として、人手不足が懸念材料になっていると認識している。


【就業促進課主幹(地域雇用対策)】
 愛知労働局が最近の雇用情勢を毎月発表しており、10月分の統計によると、愛知県内の有効求人倍率は全国4位で1.55倍であり、前月から横ばいで推移し、緩やかな改善が続いている。
 求職者の状況については、月間有効求職者は9万5,141人であり、30か月連続で対前年同月を下回って減少している。一方で、10月末現在の雇用保険被保険者は、268万8,599人であり、68か月連続で前年同月を上回っている。
 また、県では、愛知労働局と月1回の連絡会議で雇用情勢を話し合っており、ハローワークの現場の声を聞きながら、県の施策に生かしていくということが重要であると考えている。ハローワークの担当者からは、中小企業、特に製造業においては、経験者で即戦力になる方を求めているが、求職者は、正社員の希望や賃金を重視する傾向があるため、結果として、企業と求職者の間でミスマッチが発生していると聞いている。
 こうしたことから、ハローワークに求人を出してもなかなか充足が難しく、人手不足になっていると認識している。


【伊藤勝人委員】
 様々な調査をしているが、行政はどういった支援をしていくのか。
 あらゆる分野で人材が不足しているが、日本は、ある意味、製造業で成り立っている。食料自給率が40パーセントしかない中で、製造業に力を入れ、食料を輸入していかないといけない。
 自動車メーカーは、部品を組み立て、自動車を造っているが、その部品を作っているのは中小企業である。中小企業は、様々な技術力を持っているが、人材不足が続けば、技術が伝承できなくなり、やめざるを得ない状況になってくる。
 あらゆる分野で人が足らないのは、団塊の世代が定年退職し、少子化などにより人口が減っているからである。人口が減少している中で、今の経済力を維持していくには、足りない労働力をどこかで確保しなくてはならない。先のことを考えれば、少しずつ手を打っていかなくてはいけない。これについての県の所見を伺う。


【労政局長】
 中小企業の人材確保と育成は重要な課題であると認識している。
 昨年度から、森岡副知事をトップとする産業人材育成・確保のプロジェクトチームを立ち上げ、今年度から、産学行政の連携会議を設置している。
 人材不足については、喫緊の課題であると認識しているが、人が全然いないというわけではなく、ミスマッチも発生している。例えば、若者においては大企業志向が強く、中小企業の正規職員より、大企業の契約社員や派遣を選択するというケースも見られると聞いている。
 こうした状況を踏まえ、人材確保・育成の対策として、四つの項目が考えられる。
 一つ目は、短期・中期を含め、若者・女性・高齢者・障害者など、働く人を増やしていくこと。二つ目は、中小企業や人手不足の業界とのマッチングを進めること。三つ目は、研修や訓練などを実施し、少ない人数で生産性を高めていくこと。四つ目は、企業における魅力づくりや働き方、処遇改善を進めていくことである。こうしたことを、労使・行政などが地域全体で取り組んでいく必要がある。
 具体的には、女性の活躍や障害者の雇用促進に取り組み、高齢者が働く際の事例紹介を行っている。マッチングについては、きめ細かいミニ面接会や愛知ブランド企業、若者応援宣言企業などの参加による合同企業面接会を開催している。また、研修については、高等技術専門校を始め、各機関が実施する研修や訓練を中小企業の方に周知するため、ポータルサイトの作成を進めており、熟練技能者の派遣による技能指導や、技術センターによる講習や技術指導等を進め、生産性を高める取組をしている。
 一方で、中小企業における魅力づくりが欠かせないと感じている。愛知ブランド企業の方の話によると、人材育成プログラムを実施し、オンリーワンの製品開発を行い、販路拡大しており、人材不足という声は余り聞こえていない。
 こうしたことから、中小企業が総合力を高め、あらゆる媒体を通じて自主事業の魅力を発信していけるように、産業労働部としてしっかり中小企業の支援に取り組んでいく。


【伊藤勝人委員】
 人材不足は喫緊の課題である。多くの企業の方に聞くと、派遣法も問題があると言う。派遣会社に頼むと、一定期間は人が集まるが、大手企業に人材が引き抜かれ、すぐにいなくなるとのことである。
 こうした実態も注視しながら、県として、末端の部品を作っている中小・零細企業のことを大切に考え、施策に取り組んでほしい。